海の祭レポート

海の祭大会議 in 日本財団2019 開催レポート

海の祭大会議(日本財団ビル) 開催日:2019年12月7日(土)

日本全国の「海にまつわる祭の担い手」が集結して交流する、日本初の試みが「海の祭大会議」です。日本財団「海と日本プロジェクト」の協力のもと、マツリズムが全国10万人を対象に行った祭の実態調査の結果報告とともに、各地の祭の魅力を知ってもらい、それぞれの祭と地域の発展や未来をつくるための意見交換を行いました。

当日スケジュールはこちら

2019年12月7日(土)@日本財団ビル

16:30 開会・オープニング
第1部 ゲストトーク
第2部 海の祭ismプロジェクト報告
-海の祭体験プログラム
-祭りの実態調査結果
-海の祭訪問/取材
第3部 祭の課題解決ワークショップ
19:00 懇親会
20:00 終了

開会・オープニング

「海の祭大会議」は、7都道県から海の祭の担い手に集まってもらい、50名を超える参加となりました。まずは、会場内に祀られている八幡神社に向かって全員で会の成功を祈願するところから始まります。初めにマツリズム代表より「海の祭大会議」の概要・マツリズム・海と日本プロジェクトについて説明しました。

海の祭ismプロジェクトとは

地域における「祭」は楽しさだけでなく、土地の育まれてきた伝統・文化を継承し、生活する上で大切な地域コミュニティやつながりの核となる存在です。中でも海にまつわる祭りは大漁祈願や海上安全祈願のため、昔から私たちの生活に密接に関わってきました。次世代を担う若者や子どもたちが地域の人に混じって祭りを体感し、その「ism(本質的価値)」を感じることを通じて、海への関心を高めるムーブメントを起こす取り組みです。

第1部 ゲストトーク

スペシャルゲストとして小島よしおさんにお越しいただきました。
全国から来てくれた祭の担い手のみなさんが話しやすいよう緊張をほぐすネタを披露していただき、マツリズム代表大原と「海と祭り」について対談しました。最近では子供向けの活動に力を入れている小島さん。「祭の楽しさを子供に伝えるには」という問いに、「まずは参加して体験してもらうことが重要」と答えてくれました。

小島よしおさんトーク内容

Q. 今までで一番印象に残っているお祭りは?

A. 蘇民祭。とにかく寒くて過酷で印象に残った。

Q. 祭りは好き?

A. ネタ自体が祭りみたいなもの。祭り好き。

Q. 好きなお祭りは?

A. 地元の祭り。千葉育ちだから親子三大祭り、今住んでる浅草の鳥越祭りや三社祭。お神輿も担いだ。

Q. 祭りの中でどんな瞬間が一番好き?

A. 担いでいる人達の活気を遠目で眺めているのが好き。担ぐと圧がすごくて肩が痛い。

Q. なぜいつも海パンを履いている?

A. 普通の洋服で「そんなの関係ねぇ」をやってもインパクトがないので、母親の店の常連客が二十歳の誕生日にプレゼントしてくれた海パン(ブーメランパンツ)を衣装にした。

Q. おっぱっぴーはナゼOcean Pacific Peace?

A. おっぱっぴーが先に誕生。カンニング竹山さんの助言で後付けした。祭りの起源にも後付けのものがある。お祭りとおっぱっぴーは一緒、「こじまつり」をやりましょう!

Q. 海の祭りの魅力を子供達に伝えるには?

A. 参加してもらうのが一番。SNS等で面白い編集(流行りのものをくっつける等)をして発信すると、今まで食いつかなかった世代が食いつくかも。海外の人はインスタを情報収集源として使っている。

Q. 何かみなさんへ一言

A. その場所でしかできない事やその場所にしかないものはすごく魅力がある。その魅力を分かりやすく伝えるコンテンツがあると、訪れた時の喜びが大きくなる。

第2部 海の祭ismプロジェクト報告(海の祭体験プログラム)

2019年は、二つの海の祭(愛媛県上島町「佐島の秋祭り」岩手県釜石市「釜石まつり」)にて、大学生対象に祭りを通じて地域を学ぶ体験プログラムを行いました。

動画を観ながらプログラム内容の報告の後、体験者によるトークセッションを行いました。
地域内でも良い変化が起きると語ってくれました。


今年マツリズムは、海の祭の魅力を世の中の多くの人へ知ってもらうため、日本各地の海の祭へ訪問/取材させてもらい、レポートを海の祭ホームページにて発信しています。

海の祭レポートはこちら

  • とも旗祭り(石川県)
  • ホーランエンヤ(島根県)
  • 厳島神社例大祭(北海道)
  • 土崎神明社祭(秋田)
  • 姥神大神宮渡御祭(北海道)
  • 琴浦精霊船行事(新潟県)
  • 黒島天領祭(石川県)
  • 坂越の船祭り(兵庫県)
  • 三谷祭り(愛知県)

大会議ではそれぞれの祭の紹介をし、取材者の個別の視点からそれぞれの祭の「海の祭ism(すごいところ)」を発表させていただきました。今年は北前船ルートを基軸に訪問地を決め回ったことで、地理的には遠いところであっても文化や風習として似たものや深い結びつきがあったりと、新しい発見もありました。

第2部 海の祭ismプロジェクト報告(祭の実態調査)

マツリズムは今年、日本財団 海と日本プロジェクトの協力のもと、全国10万人を対象に祭の実態調査を行いました。海の祭大会議ではその結果を初めて公に発表させていただきました。
この調査を通じ、日本人の祭りへの参加実態や生活や地域コミュニティにおける「祭りの価値」を明らかにし、祭りを今後も続けていく上での「課題解決のヒント」を探ってまいります。
参加した祭りの担い手からは、「自分たちの祭りの価値を見直すキッカケになった」「早速持ち帰って仲間と話したい」という声も上がっています。

「祭の実態調査結果報告」では、脳科学者:澤口俊之先生から今回の調査結果に対するご意見をいただき、そのインタビュー動画を放映しました。

澤口先生ご自身も祭りが大好きで、幼少期の想い出を楽しそうに語ってくれた一方、「人と地域に対する親和性の向上」や「人間関係力の構築」など、脳科学的進化学的見地で祭りの価値について説明してくれました。

また、感情と知性の挟間にある「好奇心」というものが担い手不足解決にも重要で、その好奇心が詰まったものが祭りであるとお話しされていました。

第3部 祭の課題解決ワークショップ

全国の海の祭の担い手さん達が抱える課題「祭の担い手を増やすには?」をテーマにそれぞれのグループで解決策について話し合いをしました。担い手さんだけでなく、海の祭に参加したことのある学生や、社会人も交じって忌憚なき意見交換をすることができました。

当日報告させていただいた調査結果も踏まえて、「海の祭の担い手を増やすには?」をテーマに意見交換を行いました。各テーブルごとに、祭の担い手・祭に参加した大学生・祭に想いのある社会人・マツリズムスタッフ等が同席し、様々な視点から熱い議論を交わしました。

大会議後のアンケートでは「一番良かったプログラム」に、半数以上の人がこのワークショップを挙げてくださり、多様な参加者のポテンシャルを発揮する機会をつくることができました。

「自分たちだけでこういう会議は気恥ずかしさもありできない。外の人が関わって一緒にやってくれたら嬉しい」という声もあり、このような場の可能性を感じました。

その後の懇親会では、異なる地域の海の祭の担い手同士が交流できる初めての機会、それぞれが持ち寄ってくれた美味しい地酒を酌み交わし、それぞれの地域が抱える課題やその工夫について意見交換していました。

全国の海の祭の担い手が集結し意見交換を行うという日本初の試みでしたが、調査結果やマツリズム活動報告を通じ、新たな気づきだけでなく自分達の祭を客観視し、価値や魅力を再確認してもらう良い機会となりました。また、参加者へのアンケートでは92%が極めて満足または満足と答えており、満足度の高いイベントとなりました。

以下、参加くださった方々の主な声です。

  • 様々な地域の現状や祭りの意義を再確認できた。
  • 祭りに参加する人、祭りの担い手は熱い!
  • 祭りの歴史や意義等に触れる機会を増やすことで、地域外の人を巻き込むことができるのではと思った。
  • 調査結果や他団体の課題が共有できて有意義だった。
  • 他の地域の海の祭りを知る事ができて、そこに行きたい気持ちが高まった。
  • 祭りと地球環境問題とのつながりが興味深く、共有したいと思った。
  • 祭りの実態調査結果が非常に参考になり、自団体へ報告しようと思う。

(取材後記)大原 学

大原学

今年度の海の祭ismプロジェクトの総決算となるイベントが熱気に包まれて終了しました。今年実施した大学生による体験プログラム・海の祭の開拓訪問を通じて出会った方々に一同に集まっていただき、祭の調査発表やワークショップを通じて生き生きと意見交換をしている姿はエネルギーに溢れていましたし、何人かの参加者から「もっと時間が欲しかった」と言ってもらえたのは主催者冥利に尽きます。遠方から参加してくれた祭りの担い手の方々、学生の皆さん、イベントを共につくり上げてくれたスタッフ全員に感謝したいと思います。

日本初「海の祭大会議」を通じて感じたのは、人が集まり対話する場をつくることの重要性でした。私たちが関わっている祭は地域固有のもので、しかも年に一度の行事。だから地域の枠を超えて話をする機会は殆どなく貴重なものです。そうした横のつながりに加えて、大学生も大活躍してくれました。伝統文化の担い手から話を引き出し、固定観念に囚われずに柔軟な発想を出してくれ場に貢献してくれましたし、ヨソ者の可能性を感じました。

時代は急速に変化しています。今まで当たり前に行えていた祭でさえもその継承が困難になってきています。しかし、それに対して課題意識を持ち、それを乗り越えようと思う人たちが集まれば、必ずや何か新しい変化が起きます。その場をつくり続けていくこと、そして、祭りの原点である「楽しさ」を常に中心に置くことが大切なのだと、小島よしおさんや参加者の皆さんからも学ばせてもらいました。苦労はあれども、「そんなの関係ねぇ!」という気概を持ちながら、それを支える仲間をつくっていくことがこれからの祭り文化をつくっていくのだと思います。

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